Charlie Fink - Forbes

ロサンゼルス拠点のAIコンパニオン企業であるGeniesは本日、セレブリティやタレントエージェンシーが、自分自身のインタラクティブなデジタル版を作成・管理できる一連の新ツールを発表しました。このAI Companion Talent Creation Toolsにより、エンターテインメント、音楽、スポーツ分野の組織は、表現力豊かで、ゲームエンジンで即利用可能なアバターをトレーニングし、ファンとの1対1の会話を実現しつつ、肖像権やパーソナリティの権利を保持したまま運用できるようになります。

今回の発表は、Geniesが先日公表したUnityとの提携をさらに発展させ、同社のツール群を開発者、エージェンシー、IPオーナー向けのより広範なエコシステムへ拡張するものですGeniesのテクノロジーは、表現力豊かな“エンジン対応アバター”を動かすために設計されており、Unityとの連携によって、開発者が同じ技術を活用しながらIPドリブンのAIコンパニオンやコンパニオンベースのゲームを構築できるフレームワークとして機能します。これらのツールを組み合わせることで、主要なIPホルダーは知的キャラクターを使って自社IPを“生命のある存在”として立ち上げ、新しい形のファンエンゲージメントを創出できるようになります。GeniesのCEOであるアカシュ・ニガム氏は、Geniesが「大規模言語モデルのための“ビジュアルレイヤー”を構築している」と説明しており、AIを“見えるもの”“触れられるもの”“関係性を築けるもの”へと変える取り組みを掲げています。このビジョンはハリウッドにも広がりつつあり、組織はGeniesの自動生成技術（Autogeneration Technology）を用いて数千体規模のエンジン対応アバターを安全に管理し、大規模かつ効率的にデジタルアイデンティティを運用できるようになります。

Geniesは、こうした問題に対し、模倣者が利用できるのと同等の生成力を、正規のクリエイター自身に提供する“権利保護型フレームワーク”として自社のシステムを位置づけています。Geniesの事業開発・戦略ディレクターであるジェイク・ベッカー（Jake Becker）氏は次のように述べています。「OpenAIの“Sora”のようなプラットフォームが、同意なき肖像利用について問われている現在、コントロールと保護の必要性はこれまで以上に強まっています。」

この新ツールにより、タレントエージェンシーは所属するパフォーマーやアスリートの全ロスターを、丸ごとAI化して複製できるようになります。各タレントは、その後専用のプライベートポータルを通じて自分自身のAIコンパニオンを直接管理できます。生成されたアバターは、チャットや感情表現（エモート）に対応し、アプリやゲーム内にも登場することができます。Geniesのクリエーションスタックを利用することで、タレントは1枚の写真からアバターを自動生成し、録画コンテンツを使ってそのパーソナリティをトレーニングし、さまざまなインタラクティブ体験へと自由に展開できます。

Geniesのシステムは、各AIコンパニオンを Looks（見た目）／Brain（思考）／Behavior（行動）／Play（遊び）という4つの中核要素にもとづいて構築しています。生成されたアバターは、ファンとの直接的なエンゲージメントを行えるほか、GeniesのARカメラを使ってソーシャルメディア向けコンテンツを制作したり、デジタルグッズスタジオを通じてファンとの共創イベントに参加することができます。さらに、すべてのAIコンパニオンはゲーム対応（game-ready）であるため、チャットの枠を超えて、Unityで構築されたプレイ可能な空間へとシームレスに移動できます。

先日のインタビューで、アカシュ・ニガムCEOはこの統合こそがAIコンパニオンを日常生活の一部にする鍵だと語っています。「人々がAIパーソナを本当に好きになり、受け入れるためには、触れられ、つながり、共に成長できる“存在”**である必要があります。本当の友だちはチャットボックスではありません。表現豊かで、視覚的にそこに“存在し”、遊び心をもってインタラクティブに関わってくれる存在なのです。」

Geniesのより大きな目標は、これらのAIコンパニオンをモバイルゲームからMR（複合現実）環境に至るまで、アプリやプラットフォームを横断して相互運用可能な存在にすることです。このエンターテインメント領域における取り組みの裏側には、AIエージェントにとっての“ユニバーサルアバターフレームワーク”となるという技術的な野心が存在します。アカシュ・ニガムCEOはこう述べています。「“脳”の部分（AI知能）はすでに解決されつつあります。欠けているのはインターフェース──人々が情緒的につながる部分なのです。」同社の投資家には、ウォルト・ディズニー・カンパニーCEOのボブ・アイガー氏、Silver Lake、Bond、NEAといった著名な投資家が名を連ねています。パートナーには、名前は未公開ながら、主要タレントグループやグローバルIPホルダーが参画しており、彼らがGeniesに魅力を感じる理由は、その創造性にあります。各AIキャラクターは、本人とともに進化し続ける管理可能で収益化可能なデジタルアイデンティティであり、大規模かつインタラクティブなファンエンゲージメントを実現します。保護のみに焦点を当てるのではなく、Geniesの新しい提案は、現代のオーディエンスのために設計された“新しい形のデジタルアイデンティティ”を提示するものです。